関心のあること

光と物質の相互作用で生じる未踏の現象の発見・解明に興味を持ち、理論物理学の手法で研究を進めています。

こうした光に関する研究は、産業や応用研究が盛んな分野ですが、意外なことに現象の原理を追求する理論研究者は少ないのが現状です。しかし、新たな現象の発見は、物理学の新たな地平を切り拓く原動力になります。すぐに応用に結びつかないとしても、新しい現象を見つけ、解明することは、科学の裾野を広げると同時に、将来の革新的な技術開発につながると信じて、研究に取り組んでいます。

研究テーマ

光は私たちの目で知覚することのできる電磁波の1種です。電磁波は波長や周波数によって分類され、電波、赤外線、紫外線、X線、ガンマ線もすべて電磁波の1種です。これらの電磁波はそれぞれ、共鳴的に(つまり強く)相互作用する物質が異なっており、全ての電磁波はマクスウェル方程式や量子理論などの物理法則に従います。

光や電磁波に関する研究分野は、光学や電磁気学、フォトニクスなどと呼ばれ、非常に長い歴史を持ちます。その起源は紀元前300年ごろまで遡り、古代ギリシアで活躍したエウクレイデスは視覚の幾何学に関する書物「オプティカ」を著しました。そして時代は下り、19世紀に至って、電磁場の理論はマクスウェル方程式として確立されました。20世紀初頭には黒体放射や光電効果に関する研究が進展し、物理学を量子論という新たなステージに移行させました。現在では、光と物質の相互作用についての物理学に基づいて、LEDやレーザー、光通信システム、ディスプレイ、カメラ、太陽光発電などのさまざまなテクノロジーが発展しています。最先端の研究では、さまざまな高精度計測や重力波検知、いわゆる量子テクノロジーなどの分野で、光が活用されています。

このように、光や電磁波に関する研究は長い歴史を持ち、幅広い分野に展開しています。私たちは、さまざまなバックグラウンドを持つ世界中の研究者と協働し、非平衡、熱平衡問わず、物質と相互作用する電磁場で生じる新たな現象を見出すというアプローチから、その発展に貢献したいと考えています。新しい現象の発見は、私たちを取り巻く世界に対する理解を深めると同時に、人類、ひいては世界の繁栄とサステイナビリティの向上に寄与すると信じています。